2006年の問題です。
問題28 高齢者の症状や検査について適切なものはどれか。
2つ選べ。
1. 体重は、栄養状態が不良な場合であっても、浮腫性疾患(心
不全、ネフローゼ、肝硬変)では増加することがある。
2. 血清アルブミン値は、高齢者の栄養評価の指標の1つであ
り、加齢に伴って低下することはない。
3. 高齢者では、たとえ血清クレアチニン値が正常でも、糸球
体ろ過率(クレアチニンクリアランス)が低下していることがあ
り、薬剤の副作用には注意が必要である。
4. 不整脈を詳しく調べるために24時間心電図(ホルター心
電図)が測定されるが、心身の負担になるため、高齢者ではほと
んど利用されない。
5. 骨密度は、成人後は加齢とともに低下するが、特に男性に
おいてその低下が著しい。
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正解:1・3
選択肢の3を見ていきましょう。
大阪府立急性期・総合医療センター・腎臓内科のサイトにこん
な記事を見つけました。
http://plaza.umin.ac.jp/~kidney/jinkinokensa.html
『腎臓には様々な働きがあります。
腎臓の最も重要な働きは、体液の量や組成(特に電解質)を一
定に保つこと。
これは体液の量や組成が変動すると生命にかかわるためです。
しかし、このように重要な働きをするために、末期腎不全にな
るまで、様々なメカニズムによって維持されます。
体液の量や電解質の変化から、腎機能の状態を知るのは非常に
困難です。
実際には、機能しているネフロンの割合を調べることによって、
腎機能の評価としているのです。
もちろん、病気によってネフロンの傷害部位が異なり、糸球体
の病気と尿細管や間質の病気では病状も非常に異なります。
しかし、どの部位の病気であっても、結局個々のネフロン全体
の機能が無くなる訳ですから、機能しているネフロンの割合を
評価することによって腎機能を知ることが出来ます。
この目的からは、糸球体から濾過される血液(血漿水)の量(糸
球体濾過値;正常では約 100ml/分)を調べるのが最も理にかな
っています。
最も簡単な方法は、糸球体から濾過されて尿に排泄される老廃
物の血液の濃度を調べます。
よく調べられるものに、尿素(習慣で尿素に含まれる窒素の濃
度〈BUN〉で表されます)、クレアチニンなどがあります。
これらは糸球体から濾過され、尿に排泄されるため、糸球体濾
過値が低下すると血中濃度が上昇します。
尿素はタンパク質が体内で代謝された老廃物ですから、タンパ
ク質の取り方で血中濃度は大きく変わります。
また、水分を制限されたり、下痢や、非常にたくさんの汗をか
いたりして脱水状態になると、尿細管で尿素の再吸収が亢進し、
腎機能が正常でも上昇することがあります。
一方、クレアチニンは自分の体の筋肉の中で産生され、筋肉の
量が変わらない限り、その産生量は変化せず、食事の影響も殆
ど受けず、尿細管での再吸収もあまり受けないためクレアチニ
ンの血中濃度は糸球体濾過値の良い指標となります。』
また、こんな記述もあります。
『腎臓を片方摘出したとしても、クレアチニンなどの老廃物の
血中濃度はほとんど上昇しません。
すなわち片方の腎臓でも糸球体濾過値はほとんど低下しないの
です。
これは、腎臓が大きな予備力を持っており、残っているネフロ
ンが2~3倍にも頑張ってくれるからで、片方1つ腎臓を摘出
しても腎機能はほとんど正常に保たれます。
逆に考えると、クレアチニンの濃度が正常でも、ネフロンの数
は半分以下、と言うことも予想される訳で、血液検査が正常だ
からと言って、腎臓が正常だという保障は全くありません。
既に、機能しているネフロンの数は半分以下に減少しているこ
ともあるわけです。』
この選択肢は、「正しい」です。
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●編集後記●
コムスンを巡る報道は様々なものがありますが、私が1番秀逸
だと思ったのはこの記事です。
田原総一朗の政財界「ここだけの話」
『コムスンで介護を食い物にしたグッドウィル折口氏の“犯
罪”』
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/column/tahara/070614_15th/index.html
読んでみてください。
「僕が折口氏に確認したかったのは、彼のつくったビジネスモ
デル自体が破綻したのか、それともコムスンの運営に問題があ
ったのか、それとも破綻していると知りながら詐欺的行為で売
り抜けようとしたのか、その3つのいずれなのかということだっ
た。」という記述に注意して読んでください。
バックナンバーです。
訪問して感想をお聞かせください。
http://kaigoshien2007.blogspot.com/
それでは、また会える日まで!!
See You!!